口、舌、のどの症状・病気
咽頭痛
のどの痛みは咽頭痛と呼ばれます。
原因としては多岐に及びその症状の出現状況(急な痛みか、慢性的か)や痛みの性状などから鑑別が必要になります。
咽頭痛は、何もしなくても痛みを伴う「自発痛」、と飲み込み(嚥下、えんげ)を行った際に痛みを伴う「嚥下痛」の2つに分かれます。呼吸苦が伴う場合は注意が必要です。
痛みの原因を確認する目的で口腔、咽頭の観察し、詳細な評価目的に内視鏡検査を行います。コロナ感染も鑑別ですので当院では抗原検査、pcr検査を行います。
原因に応じて適宜治療を行わせていただきます。咽頭炎(のど風邪)であれば炎症を抑える薬を処方し経過をみます。
味覚障害
味覚を感じない、感じにくい状態です。食べ物の味が分からない、鈍くなる、特定の味が分からない、何も食べていないのに変な味がするといった症状があります。
亜鉛不足が原因として多いことが分かっています。鉄欠乏性貧血による舌炎や口内炎や虫歯などに伴う舌炎も味覚障害の原因となります。
亜鉛欠乏には亜鉛剤を処方します。ご自身が内服している薬剤も原因になりうるので相談の上、薬剤性の場合中止、変更、減量を検討します。口腔ケアも重要ですが、味のセンサーである味蕾が舌の表面にあるので、歯ブラシなどで無理な掃除は増悪させる可能性もあり注意が必要です。
無呼吸
睡眠中に上気道の閉塞が生じて、無呼吸又は低呼吸が頻回に生じる状態です。睡眠中のいびきや、呼吸停止を認めます。その結果日中の傾眠や集中力の低下、中途覚醒(夜目覚めるを認めます。脳血管系、心循環系に合併症をきたし生存率を下げてしまいます。小児では無呼吸の影響で夜尿や、心身の発達障害を来すと言われます。
小児ではアデノイド増殖、扁桃肥大が、大人では肥満が原因となりやすく、その有無を確認します。無呼吸の程度を確認する目的で簡易PSGという、寝て行う検査を自宅にて施行します。
無呼吸の程度にもよりますが、小児ではアデノイド切除、扁桃摘出術をお勧めします。大人では減量やCPAP(寝る際に空気を送るマスクを装着)をお勧めしています。
嚥下障害
嚥下(エンゲ)障害は食べ物の口から胃まで円滑な搬送が障害される事によって起こる様々な症状の総称でその原因は多岐に及びます。
口の中に入れた食べ物を咀嚼(そしゃく)し、のどの奥に送り込めない、飲み込みの際にむせてしまうなどです。むせた自覚がなくても肺炎を来す場合もあります。
飲み込みに影響与える病気が存在しないか口の中を観察します。内視鏡を行い、のどの中も観察します。内視鏡をした状態で色付きゼリーを摂取し状況を確認する検査、嚥下内視鏡検査も検討されます。
治療可能な疾患であれば治療を行います。ただし一般的には加齢に伴う嚥下障害が最も多く、食事形態の指導や飲み込みの訓練が検討されます。
嗄声
嗄声とは声の音質異常(声のかすれなど)のことです。様々な原因により声帯の振動異常が生じている状態です。
声の状況により①がらがら声②かすれ声③弱々しい声④押しつぶされた声などと表現されます。声質から原因を推測することも可能です。
様々な原因で嗄声を来しますが、最も重要な声の源である声帯を内視鏡で観察や粘膜波動を確認するストロボスコピー検査が必要です。
原因に応じて治療は異なります。炎症や声の酷使が原因であれば保存的加療(蒸気吸入)などが行われ、改善が乏しい場合は手術(全身麻酔でのどから金属の筒を挿入して切除)が検討されます。